tori03’s diary

写真を撮ることが好きなエンジニアの日記です

Xデザイン学校 チーム定例#02 「訪日客とチーズホットドッグ」

先週Xデザイン学校大阪校の研究生チームで京都にユーザー観察に行ってきました

 

第二回の講義まで自分たちのチームで上がっていた課題は以下の通り
 1.ターゲットユーザーを訪日客としたが、訪日客と言っても国・民族・背景など様々な要因で異なっているため絞りきれいていない
 2.ターゲットとする事業領域を「観光・旅行」としたが、様々なステークホルダーが絡み合っているため問題が複雑で、自分たちが解くべき課題が明確になっていない

第一回の講義のあとに行った観察では、黒門市場大阪城でたくさんのユーザを広く浅く見てしまったせいで、分析も広く浅くなってしまいました。そこで今回は、観察対象とするユーザを絞って観察を行ってきました。

 

そんな今回の観察の目的は大きく3つ
1.一旦北米・欧米系の訪日客にターゲットを絞り観察を行い仮想ペルソナを設計する
2.訪日客に実際どのようなステークホルダーが関わっているのかを確認し、観光に関わるステークホルダーを整理し俯瞰してみる
3.訪日客の旅の嬉しさを分析し、最高の旅について考える

 

シャドーイング

今回の観察ではターゲットユーザーを絞ってユーザを深く観察するシャドーイングという方法を行ってきました。シャドーイングとはわかりやすく言うと「ターゲットとするユーザーの後を気づかれないようについて行って観察する方法」です(※れっきとした調査でありストーカーではありません)。シャドーイング最大のメリットは、ユーザーの行動・言動を生の状態でみることができること。よくあるアンケートやヒアリングでは、ユーザーが気を使って答えたり、質問者の質問によってユーザーにバイアスがかかってしまい、本当の姿が見えなくなってしまうことがありますがシャドーイングはそれを防ぐことができる方法の一つです。


観察の開始地点は京都駅。訪日客が京都観光をスタートする場所からシャドーイングを行ってきました。

 

まずは最初にターゲットするユーザを見つけに京都駅構内にある観光案内所に行きました。同じチームのWebデザイナーさんの情報によると訪日客の人が最初に立ち寄ることも多いそうです。観光案内所に行って最初に行って思ったことは「紙のパンフレットがめっちゃたくさんある!」ということ。そして意外に外国語で書かれたパンフレットが少ない(全体の1/4~1/3くらい)。日本人でも選ぶの困るなーと思っていたら、訪日客の方々は相談員さんの方と話しながら地図に書き込んでもらい、自分たちのルートを決めているようでした。情報がたくさんあっても選ぶの困るだけということを改めておもいました。

 

観光案内所ではタイミングが悪かったのか私達がターゲットとする欧米系の訪日観光客の方がいなかったので、京都駅のバス停でユーザを探しました。ちょうど私達がターゲットとする欧米系のカップルの方がいたので早速シャドーイングを開始しました。

 

まず最初に気づいたことは二人共荷物をほとんど持っていないということ。男性の方は一眼カメラとスマホとお財布のみ、女性は小さなバッグだけ。京都駅の近くに泊まって観光しているような感じでした。このカップルは地図も持っていないようで、スマホでちらっと行き先を確認してバスの椅子に座っていました。一方その隣のいた訪日客のカップルは地図を出して、何度か行き先をチェックしていました。逆に共通点として、バスが進むと徐々に不安な目つきになりしきりにバス前方に表示されるバス停を名前とバスの外の景色を確認していました。あと気づいたこととして、訪日客の方は一日パスを使ってバスに乗っていることが多いということがわかりました。

 

さてカップルは八坂神社前でバスを降りました。スマホで地図を確認せずそのまま歩き出しました。どうやら道を既に知っていたようです。どこへ行くのかと思っていたら祇園へ。写真でも撮るのかなと思っていたら、特に何もせずにメイン通りをスタスタ歩いて行きました。ようやく男性の方が持っていたカメラを構えたとおもったら、メイン通りを撮らずにだれもいない脇道の写真をパシャリ。そのままカップルはメイン通りを離れて脇道に入っていきました。一本脇道に入るとびっくりするくらい人が少なくなり、落ち着いた雰囲気に。ここで男性の方が女性にカメラを向け写真を撮り始めました。どうやらメイン通りは観光客が多すぎたようです。

 

そろそろお昼時なのでそろそろご飯でも食べるのかなと思ってると、そのまま裏通りを通って鴨川方面へ。特に観光するわけでもなく街をだらだら歩く。次ぎの観光スポットに急いで向かうわけでもわけでもないよう。どこへ行くのかなと思っていたら公衆トイレへ。どうやらグーグルマップでトイレの位置を調べてトイレを見つけたようです。

 

ここでちょっと距離を縮めすぎたなとおもって距離を開けたらカップルの姿を見失いました。しょうが無いと思っていたら錦市場で奇跡の再開。また彼らの行動調査を再開しました。そろそろお昼時。京都だし和食的なものを食べるのかなとおもっていたら、彼らが向かったお店はなんと

「チーズホットドッグ」

京都とは1mmも関係がない。。。日本人が思う訪日客の行動と、実際の行動は違うことを改めて思い知らされました。自分もそうでしたが海外に行ったとき食べたいものって、案外自分が普段食べ慣れたものなんですよね。

 

そこで彼らとはお別れし、錦市場へ。次はカップル+甚平を着たおじさんの3人組訪日客のシャドーイングを行ってきました。甚平を着たおじさんは日本語も喋れるようで、カップルを案内していました。おじさんが説明してくれたり通訳をしてくれるので、自分たちだけではわからない話が聞けて楽しそうでした。

 

彼らは錦市場で日本酒の試飲をできる酒屋さんへ。どうやら甚平を着たおじさんが連れて行ったようです。店頭にいた店員さんと話しながら試飲を楽しんでいました。そのときちょっとした事件が。彼らが店員さんとずっと話していたため日本人のお客さんが聞きたいことを聞けずイライラ。ようやく話が終わったのかなと思ったら彼らは何も買わずにそのままお店を出る。店員さんの視点でみると、訪日客に時間をかけて説明したのに売上にはならずに、せっかく買いに来てくれたお客さんを怒らせてしまうという損しかない展開になってしまいました。

 

■結果の分析
今回はKA法を使ってシャドーイングの結果を整理しました。KA法は「出来事」・「ユーザの心の声」・「価値」の3つの軸で集めた情報を整理する方法です。「出来事→ユーザの心の声→価値」の分析の流れは前回行った「事実→解釈→仮説」と同じような流れになります。KA法は一枚ごとにデータをまとめて行くので、粒度を保ったまま分析ができるメリットがあるとおもいます。

実際にシャドーイングをして気づいたことは訪日客は意外と情報に困っていないということ。スマホをしきりに見て検索したりとという行動はあまり見られませんでした。そして観光スポットをたくさん回るのではなく、意外とゆっくりと時間を使っていることがわかりました。

 

二組シャドーイングしたことで差分も見えてきました。一組目のカップルは案内してくれる人はいませんでしたが、余計な情報がないぶん自分たちのペースで回れていました。観光スポットを次々回ってもせかせかするだけで楽しめないのかもしれません。一方甚平を着たおじさんが案内されているカップルもおじさんが情報を選択して伝えてくれるので、楽しめているようでした。

 

もう一つ気づいたことは訪日客を相手にしているお店の人や、日本人のお客さんも重要なステークホルダーでその人達の嬉しさも大切だということ。スペインのバルセロナで観光客が増えすぎて観光客を制限したというニュースがありましたが、観光する人も地元の人も嬉しいサービスを考えていきたいとおもいました。